履きやすい靴

履きやすい靴というのがその人の健康を左右する、というとオーバーに感じるかもしれません。しかし、足というのは「第二の心臓」と呼ばれており、歩くという行為が血液を上半身に送るポンプの役割をする、とても大切な部分なのです。その部分を上手に機能させるための「靴」を選ぶ時、履きやすい靴というよりも、デザインや流行をまず優先してしまう場合が多いのではないでしょうか。
足のタイプは人それぞれです。五本指が全て開いているような、つま先が広いタイプや、親指が出ているタイプ、中指が長いタイプ、いわゆる外反母趾と言われるタイプなど、足先の形だけでもさまざまです。他にも偏平足や甲の高い足などがありますので、ひとくちに「履きやすい靴」と言っても何種類もの形になるでしょう。
しかし、どんなタイプの足でも、「履きやすい靴の条件」というのは共通です。土踏まずの部分が動かずにしっかり足についていること、踵にフィットしていること、指先は程よく余裕のあること、などです。最近は先の丸い靴や、バレイシューズ型のいわゆるペタンコ靴が増えているので、「ヒールは低めのものを履いているから大丈夫」と言われるかもしれませんが、やはり一番「履きやすい靴」というのは「紐靴」です。履きやすい靴、というのは、脱ぎやすい靴、簡単にすぐ履ける靴、という意味ではありません。
脱ぎやすい靴というのは、実はきっちり足にフィットしていません。簡単にすぐ履ける靴というのも本当に履きやすい靴とは言えないのです。ではどんな靴が本当の意味で「履きやすい靴」なのでしょうか。足に合った靴というのは、余裕がある、ということですが、踵に余裕がある、ということではありません。踵はしっかりフィットして、足先の部分に若干の余裕がある、という意味です。といっても踵のアーチと靴のアーチが合わなければ、靴擦れの原因にもなります。
履き方にも注意する必要があります。足にきちんとフィットしている「紐靴」をしっかりと紐を外して踵に合わせて履き、足先に余裕をもたせてから、紐をきちんと結ぶことで、きちんと履きやすい靴としての機能をはたすのです。足というのは幅だけではなく、足裏の形にも気をつけなければいけません。いわゆる土踏まずの部分のアーチは、足を疲れさせない重要なポイントですが、五本指の骨が作る自然な形のアーチも、足にはとても大切な部分です。
インソール(中敷き)などでその部分をサポートすることで、足の負担が少なくなる場合があります。靴全てのフルオーダーはかなり金額がかさみますが、インソール(中敷き)をオーダーすることで、比較的安い価格で自分の足に合った履きやすい靴を作ることが可能です。とはいえ、TPOに応じて、ハイヒールを履かなければいけないシーンが出てくるのは、女性の場合仕方ないかもしれません。その場合は、なるべく足に苦痛を与えないようなヒールを選び、出来るだけヒールの使用を短時間にするなど、デザインと健康の妥協点を考えながら靴選びをしていく必要があるでしょう。